世界中のあらゆる企業が大きな変革の中にいます。アフターコロナの時代には、優れたカスタマーエクスペリエンスが企業にとって最大の差別化要因となります。
今日の顧客はかつてないほど抜け目がなく、要求も厳しくなっています。最低価格を提供するだけではロイヤリティの確保はできません。企業と顧客とのやり取りはシームレスでなければならず、あらゆるタッチポイントで顧客の好みに合わせることが求められます。やり取りの一部がデジタル、あるいは完全にデジタルな場合でも、カスタマージャーニーを高度にパーソナライズする必要があります。最高のカスタマーエクスペリエンス(CX)を演出する企業間の競争は始まったばかりです。
カスタマーリレーションシップ管理(CRM)ソフトウェア市場のリーダーである Salesforce は、CRM を「既存顧客や潜在顧客と企業とのあらゆる関係と相互作用を管理するためのテクノロジー」と定義しています。CRM の主な目標は、最終的に自社の事業を成長させるため、事業における関係を強化することにあります。
これに対し、カスタマーエクスペリエンス管理(CXM)ソフトウェアは、顧客の期待に応え、超えられるように顧客とのやり取りを設計・対応し、顧客満足度、ロイヤルティ、アドボカシーと増収をもたらす手段として定義されます。
簡単に言えば、CRM は顧客を理解するためのデータの収集と分析を、CXM はカスタマーエクスペリエンス向上のためそうしたデータに基づいて行動を起こすことを可能にします。
では、こうした競争に臨む準備を整え、勝つためのポジションを取るには何をすべきでしょうか。必要なのは、自社独自のニーズに対応し、顧客エンゲージメントを促進する、最もインテリジェントなカスタマーコミュニケーション管理 (CCM)、カスタマーエクスペリエンス管理(CXM) ソリューションとプロセスを実装することです。
カスタマーコミュニケーションを徹底的に見直して顧客中心型にし、カスタマーエクスペリエンスを変革して競争力を強めるソリューションに投資する取り組みは、決して容易ではありません。1年の大半を調査、要件の整理、予算の確保と指標の作成に費やすこととなります。また、ベンダーを比較し、ソリューションのデモを確認して、どのソリューションが最適かを判断するのにかなりの時間を費やす必要があります。
ただ、ここで押さえておきたいのは、デモと説明だけでベンダーの真の姿が見えてくるわけではないということです。CCM 企業に知人がいるか、別のベンダーとの関わりがある場合を除き、知る由もない、それでいて成功の決定要因となる重要な質問がいくつかあります。こうした質問は、多くのベンダーにとって答えが好ましくないため、セールスプロセスで俎上に上ることはありません。
ここでは、十分に情報を得た、インテリジェントなカスタマーエクスペリエンス管理ソリューションの購入に役立つ、CCM 専門家が作成した質問をいくつかご紹介します。
請求と追加料金
- 請求単位は?ソリューションの価格は、コミュニケーション、ユーザー数、ページ数やデータ量といった指標に基づいていますか?
課金体系が出力ファイルサイズなどの場合、コミュニケーションのタイプによって予測できないほど価格が変動し、予算をすぐに使い果たしてしまう可能性があるため、この点を確認することが重要です。
- 新しく追加される機能は有料ですか?有料の場合、具体的な内容を説明してください。
レポートと予算予測
- どのようなリアルタイムのステータスと月次請求レポートをソリューションで提供しますか?利用可能な残り数量やユーザーなどを追跡するために、どのようなダッシュボードやレポートが利用可能ですか?
苦心して勝ち取った予算ですから、あらゆる項目を正当化できるようでなければなりません。思わぬ追加料金に驚かされないよう、予め説明を求めましょう。一貫性のある契約使用量のレポート機能があれば、プロセスを調整し対策を講じて、追加予算を確保する必要がなくなります。ベンダーによりレポート構造は異なるため、投資の管理に最適なレポート構造を見つけることが大切です。
- 1年間に SMS、PDF、メール、印刷出力プロジェクトの予算を超過した顧客の割合はどのくらいですか?
同じことが自分たちにも起こり得るため、重要な質問です。あるベンダーの既存顧客の多くが毎年予算を超過しているとしたら、自社でもそうなる可能性が高いと考えるべきです。
カスタマーサクセス
- 顧客満足度スコアを今後の開発にどう反映させていますか?
- ソリューションを他の人たちに勧めると答えた顧客の傾向はどのように推移していますか?
顧客にどのようなサポートサービスを提供していますか?
この質問は、ベンダーが顧客の成功にどう投資しているかを尋ねるものです。顧客サポートとプロフェッショナルサービスの品質は、CCM ベンダーのネットプロモータースコアを決定する重要な要因であり、顧客の最初のプロジェクトを成功に導く能力は、ROI と CCM の機能を実証する上で不可欠です。
知的財産
- コミュニケーションに関わるリソースをローカルまたは他の場所でバックアップしたいのですが、御社のテクノロジーでこれを行うにはどうすればよいですか?当社のコミュニケーションの知的財産権はどこに置かれますか?
カスタマーエクスペリエンス管理(CXM)
- 御社のユーザーは、カスタマージャーニーにおける別のフェーズでそれぞれ異なったコミュニケーションに取り組む可能性のある利害関係者や事業部門と、どのようにコラボレーションしていますか?
- 御社のクライアントは、KPI などの関連指標を使ってパフォーマンスと有用性をコミュニケーションプロジェクトにどう紐づけてしていますか?
カスタマージャーニー管理
- 御社のジャーニーソリューションでは、ビジネスプロセス(オンボーディング、登録や更新)完了のためのネクストベストアクションを調整するコミュニケーション設計をどのように保証していますか?
- 御社のジャーニーソリューションは、組織の CX 基準に準拠したコミュニケーションの実現をどう担保していますか?
さらに詳細をご希望ですか?「カスタマーコミュニケーションショッピングのための究極のガイド」をダウンロードして、カスタマーコミュニケーションソリューションの評価の際に確認すべき75の重要な質問をご覧ください。
Apple、Google、Amazon などの超有名ブランドの影響を受け、消費者の期待はこれまでになく高い水準にあります。今日の顧客は、パーソナライズされた関連性の高いコミュニケーションをオンデマンドで、好みのデバイスからできることを求めています。
ただ、大企業の多く、特に保険、金融サービス、電気通信、公益事業などの規制対象の B2C 業界では、カスタマーエクスペリエンス (CX) 改善を図ることは容易ではありません。デジタルやコミュニケーション面での変革に関し、こうした企業は次のような課題に直面しています。
- 複雑なレガシー IT システムとデータサイロ
- 運用サイロとデジタルサイロ
- 変化する市場規制
- IT にかける時間とリソースの不足
- 市場投入までの時間短縮のプレッシャー
カスタマーコミュニケーション管理 (CCM) などのカスタマーエクスペリエンス管理プラットフォームは、大企業がこうした課題を克服するのを支援するために開発されました。
デモや詳細な説明だけでは、ベンダーの真実の姿が見えてこないこともあります。予算からカスタマーサクセス、キャパシティから拡張性まで、情報に基づいたインテリジェントな CX 投資を確実に行うには、考慮すべき事項が多数あります。
CCM テクノロジーを調達する際に役立つヒントを5つご紹介します。
ヒント1 : 見えない手数料を避ける
カスタマーコミュニケーションの要件は複雑な場合もありますが、CCM 請求書が複雑であってはなりません。CCM ベンダーの価格設定とレポーティングに、サービスに含まれる内容とそうでない内容が明確に記載されているかどうか、確認しましょう。勘違いのために予算を超過したり、想定外のペナルティ手数料を負担するのは避けたいものです。
シンプルさ、透明性とサポートを通じて、目標と予算に沿ったスケーラビリティを実現する姿勢に注力するベンダーと協業することが大切です。
ヒント2 : 十分な対応能力があることを確認する
すべての業務が簡単ではありません。高度に規制された今日の企業の抱えるコミュニケーションニーズは、実に複雑です。複雑度の極めて高いカスタマーコミュニケーションの課題に対処するには、信頼できる CCM パートナーが必要です。
購入する前に、そのカスタマーコミュニケーションプロバイダーに小規模な案件だけでなく、大規模な案件にも対応できる処理能力があることを確認しましょう。
ヒント3 : ソリューションの基盤を確認する
今日のハイペースな企業向けに堅牢なソリューションを構築するには時間がかかります。導入を検討している CCM プロバイダーが研究開発に投資し、CX 曲線を先取りしようとしているかどうかを確認しましょう。
ヒント4 : レビューを読む
顧客の成功にコミットしている CCM ベンダーと協業するようにしましょう。アナリストの推奨事項を確認し、ベンダー候補に顧客満足度評価について尋ね、Gartner Peer Reviews などのレビューサイトをチェックしてユーザーの意見を直接確認することが大切です。
ヒント5 : 現在と将来の両方のニーズを考慮する
企業はそれぞれのペースで進化します。今日のニーズが明日も同じとは限りません。選定候補の CCM ベンダーが提供する導入形態のオプションを必ず検討するようにしましょう。
導入形態のニーズにかかわらず、当社のソリューションは、オンプレミス、クラウド、ハイブリッドなど、比類のないスピードとスケーラビリティを提供します。ユーザー企業に選択を強制することはなく、あらゆる段階を通して顧客と一緒に成長することを約束します。あらゆる環境に対応する導入形態のオプションにより、企業は事業とともに成長できないインフラへのロックダウンを避け、最新の CCM の要件であるポータビリティとスケーラビリティを実現することができます。
企業が選べるソリューションの数は非常に多いため、どのソリューションが自社のビジネスに最適か、決めるのは難しいものです。間違った選択をすることで及ぶ悪影響を恐れるばかりに、選択自体を放棄し、今あるもので間に合わせようとする企業や事業部門も少なくありません。
こうした状況は、適切なソリューションを選ぶための戦略的アプローチを取ることで防げます。慎重な計画と詳細な要件収集、方向性の定まった組織と経営幹部の支援で推進されるチームがあれば、企業は適切なソリューションを見つけ出し、うまく実装して、カスタマーコミュニケーションの将来のためのフレームワークを確立することができます。
将来を見据えたコミュニケーション
企業が CCM テクノロジーを選択する際の1つの共通の目標は、将来にわたって応用できるコミュニケーションを実現するということです。すべてのトレンドや機能強化が予測可能ではありませんが、コミュニケーションにおける次の大きな波を積極的に追いかけている技術パートナーを選択すれば、新機能の実装やコミュニケーションの強化を企業が目指すタイミングで、そうした機能がソフトウェアソリューション内で提供される可能性が高くなります。
プラットフォームを拡張し、実証可能な方法で段階的に機能を強化して、常に先端を行くベンダーの傾向を把握しておくことが大切です。営業担当者の言葉だけを鵜呑みにしないようにしましょう。
経営陣の支持を獲得
経営陣からの適切な支援が得られず、組織内での連携が不足していると、テクノロジーの導入に遅れが生じる場合があります。経営の観点から、誰が関与すべきかを把握しておくことが非常に重要です。
関与すべきメンバーとしては、IT、事業部門や調達部門のメンバーがまず挙げられます。この他にも、法務・コンプライアンス担当者、財務、カスタマーエクスペリエンス、マーケティング、アウトプットの管理を担当する制作スタッフ、さらにこうしたコミュニケーションの提供やレビューを担当する関係者なども重要です。こうした利害関係者のグループが最終的に運営委員会として取り組みを推進することになります。
選定プロセスの管理
社内に多数いる CCM 関係者の意見やニーズの管理は課題となります。ソリューションの選択プロセスの管理と意思決定の方法について予め計画を立てておくようにしましょう。
選定委員会の体制が固まったら、各利害関係者が要件を提供する方法、こうした要件に対するベンダーの対応の評価・採点方法を定めた包括的な評価計画を策定する必要があります。
チームメンバーが揃い、選定と評価のアプローチを確立したら、RFP に対応し、ソリューションの能力を披露する機会をどのベンダーに与えるかを決めます。または、ショートリスト選定プロセスを迅速に進めるため、CCM ベンダーと技術に精通した業界リソースを活用することもできます。
実装後の成功のための戦略
ソリューションの選定後、実装をどのように管理すべきかは見落とされがちです。 IT 部門が深く関与するのは当然ですが、ソリューションに関する目標すべてを最初から最後まで確実に達成できるよう、IT 部門以外の人 (理想的にはプロジェクト管理スキルと実装経験のある) にも関わってもらいましょう。
成功を確実にするためには、実装と移行の経験が豊富なベンダーを選ぶことも大切です。ソリューションを最大限に効果的・効率的に実装し、既存のシステムと適切に統合するには、実装中のベンダーの関与とサポートが鍵となります。リソースのギャップを埋めるため、ベンダーが直接提供する専門知識と経験を確かめるには、サポートと専門サービスのオプションを確認してみましょう。
積極的な概念実証の重要性
概念実証 (POC) については多くの組織で話題に上ります。それでも、契約締結を経てひとたび実装が開始されると、期待する水準通りの体験を確実に実現できるレベルでフォローを行う企業はほとんどないように見受けられます。堅牢な評価プロセスが完了していても、POC 中に問題がいくつか見つかり、結果的に実装中の問題を軽減できる可能性があります。
詳細な POC を行えるよう、最終選考に残った各ベンダーに対しては、自社のソリューションが企業のニーズをどう満たすかを正確に示してもらいましょう。ソリューションがビジネス面でのニーズをどう満たすかを確認して始めて、採用候補のベンダー間の違いが見えてくることもありますので、重要なポイントです。データの処理方法、ビジネスルールのキャプチャ方法、モジュールに含まれる関数など、パフォーマンスに差の出る違いがこのプロセスで明らかになることもあります。
関連する内容をよりよく把握するため、POCは現場で、主要スタッフにそのテクノロジーを使って貰う形で行う必要があります。用途に関わらず、企業側としては、実際のデータと同じ方法で構造化されたサンプルデータに加え、フォント、ロゴを始めとするグラフィックスなどの他のコミュニケーションの構成要素をベンダーに提供する必要があります。
新たな CCM 技術への投資は簡単なことではありませんが、早い段階で適切な計画とサポートを行うことで、成功を収めることができます。成功を確実にするには、影響力のある経営陣の支持を得ることが重要です。要件文書に反映すべきニーズ評価を徹底的に行うことも、現在と将来のニーズを満たすソリューションを見つけるには不可欠です。そして最後に、適切なソリューションを見つけるため、企業として厳格な評価と選定プロセスを実行する必要があります。
CCM インフラストラクチャ導入を成功させるには、適切なソリューションを見つけるだけでは不十分です。長期的な成功を実現するためには、アプリケーションの実装と新しいシステムへの移行に関する検討、サポートと尽力が不可欠です。
組織にとって最適な CCM ソリューションを判断するためのデューデリジェンスは、複雑な作業となる可能性があります。このプロセスの簡素化に役立つのが、Aspire Leaderboard です。Aspire Leaderboard は、CCM 業界全体のベンダーをランク付けする、ダイナミックかつデジタルファーストのベンダーポジショニンググリッドです。
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