30年前、カスタマーコミュニケーションは比較的単純なものでした。手紙や請求書、契約書などの事業に不可欠な文書は、物理的に郵便で送受信されていました。1980年代のFAXや1990年代のメールから、近年のモバイルデバイスやソーシャルメディアへとテクノロジーが進化するにつれ、企業が顧客とコミュニケーションをとる方法にも次第に影響が及んできました。
顧客とのコミュニケーションに利用できるチャネルが非常に多い中、適切なチャネルをどう決定すべきでしょうか。この記事では、さまざまなチャネルの概要と顧客とのコミュニケーションに適したチャネルの選択方法をご紹介します。
カスタマーコミュニケーションチャネルは、組織が顧客とつながるためのさまざまな媒体を指し、主に以下の2つのカテゴリーに分類されます。
- 従来型(オフライン)チャネル - 印刷物など
- デジタル(オンライン)チャネル - ライブチャット、テキストメッセージ、メール、ソーシャルメディアなど
従来型チャネルは数十年来存在していますが、デジタルチャネルは、テクノロジーの進化に伴い、過去20年間に出現しました。
企業が顧客エンゲージメントを成功させるには、適切なタイミングと方法を使い、適切なメッセージを顧客に発信する必要があります。
顧客とのコミュニケーションに利用できるチャネルが非常に多い中、どれだけのチャネルに対応し、適切なチャネルはどう決定すべきでしょうか。
顧客が好むチャネルで、顧客とコミュニケーションをとれるように、多くのコミュニケーションチャネルをサポートし、それらを効果的に管理することは重要です。
調査によると、複数のタッチポイントを通じて、顧客が好むコミュニケーション手段で顧客とやり取りする企業は、よいビジネス成果を達成しています。顧客満足度指数が高いほど、カスタマー・アドボカシーが向上できるようになり、顧客が体験を他の人と共有する意欲も高まります。
今日では誰もがさまざまなコミュニケーションチャネルを利用しています。特定の方法で情報の受信(「すべてデジタル」または「すべて紙媒体」など)することを好む顧客もいますが、多くの顧客は通信に応じて(例えば、毎月の明細書は郵便で受け取り、注文確認はメールを希望するなど)選考するチャネルが異なります。
使用すべきコミュニケーションチャネルは、配信するメッセージのタイプとそのメッセージを受け取るオーディエンスによって異なります。そこで、以下のような要素を考慮してください。
- 送信するメッセージの種類を決める
- フォーマルなメッセージか、そうでないか?
- 伝えたい情報には時間的制約はあるか?
- 伝える情報は機密性の高いものか?
- 返信を要するメッセージか?
こうした質問に回答すれば、メッセージ配信に最適なチャネルを決定するのに役立ちます。
- オーディエンスを把握する
コミュニケーションチャネルの選択は、顧客の好みに合わせる必要があります。顧客が使わないチャネルを選択すると、結果的に顧客にメッセージを受け取ってもらえず、不満が生じます。
また、チャネルの選好がオーディエンスの国籍や世代によって異なりうることを考慮するのも重要です。
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デジタルチャネル
- ライブチャットを使用すると、ウェブサイト経由で顧客と直接対話ができます。顧客の問い合わせに迅速に対応でき、カスタマーサポートを年中無休で提供できます。
- チャットボットはライブチャットに似ていますが、顧客は企業ウェブサイトで生身の人間の代わりにボットとチャットします。一般的な質問に答えるのに便利な方法です。顧客がチームメンバーと話すことを希望する場合、チャットボットから顧客サービス担当者につなげることができます。
- ソーシャルメディアは広く利用されており、必須のコミュニケーションチャネルです。顧客はしばしば、質問や投稿にコメントを残すなどしてソーシャルメディアプラットフォーム経由でブランドとやり取りをします。
- メールは最も一般的なコミュニケーション手段の一つで、多数の顧客に愛用されています。メールで受け取った問い合わせには迅速に対応するようにしましょう。
- 顧客の多数がスマートフォンを持っている現在、テキストメッセージ(SMS)も人気のチャネルです。テキストメッセージは、念のため請求書支払いのリマインダーを送るのに効果的です。
従来型チャネル
- デジタルが台頭する中でも、紙媒体でのコミュニケーションはチャネルミックスの中で重要な役割を果たし続け、独自のインパクトを与えています。物理的なコミュニケーションには魅力があり、デジタル疲れの克服にも役立ちます。
どのコミュニケーションチャネルをサポートするかにかかわらず、優れたカスタマーエクスペリエンスを提供できるよう、オムニチャネル通信戦略を利用するようにしましょう。
今日の顧客は知識が豊富で、情報を自由に操り、たくさんのことを期待しています。モバイルやソーシャルメディアの台頭により、平均的な顧客さえ、いつでもどこでも情報にアクセスして共有できるようになりました。
顧客は複数のデバイスとオンラインソースを使用して製品を購入し、ブランドとやり取りします。最初にソーシャルメディア広告を通じて製品と出会い、企業のウェブサイトで詳細をチェックして、実店舗で購入するようなことができます。
こうした局面でこそ、組織は競合他社に差をつけることができます。そのためには、デバイスとやり取りを個別に扱ってカスタマージャーニーを中断するのではなく、オムニチャネルエンゲージメントを実現するのに役立つテクノロジーが必要となります。
オムニチャネルカスタマーサポートコミュニケーション戦略により、組織は複数のチャネルにわたって一貫したカスタマーエクスペリエンスを提供することができます。このアプローチなら、コンテンツはすべてのチャネルとデバイスに対して最適化されるため、消費者はシームレスなブランド体験を得ることができます。オムニチャネルアプローチを採用する企業は、消費者が一貫したシームレスな方法でチャネル間を移行することを可能にしています。
オムニチャネルコミュニケーションアプローチの利点には、以下のようなものがあります。
- 顧客の期待に応え(またはそれを超え)られる - 長期的なロイヤルティを生み出すため、期待される体験を提供できます。
- より大きなインパクトを与えられる - 適切なパーソナライズされたメッセージならより迅速な反応が得られます。
- 顧客インサイトを得られる - 顧客に最も人気があるチャネルを把握し、そのチャネルの開発に集中投資することができます。
- コミュニケーションがよりスマートに - データとインサイトを活用し、顧客の希望するコンテンツ、頻度やチャネルに合わせてコミュニケーションを調整できます。
この記事で説明したとおり、顧客とのコミュニケーションに使用できるチャネルはいくつかあります。重要なのは、チャネルに関係なく一貫したシームレスなエクスペリエンスを提供し、顧客が希望する方法と場所で取引を完了できるようにすることです。これを実現できる方法が、オムニチャネルカスタマーコミュニケーションです。