組織全体が協力し、顧客が望み、期待しているカスタマーエクスペリエンスを
構築することは重要です。ただ、会社全体で顧客中心型に移行するには
どうすれば良いでしょうか。全部門の従業員が足並みを揃え、コラボレーションを行い、イノベーションを起こして、
より良いカスタマーエクスペリエンスを提供するためには、従業員をどのように支援すれば良いでしょうか?カスタマージャーニーマッピングソフトウェアは、カスタマーエクスペリエンスツールボックスに必要なツールの1つです。
カスタマージャーニーソフトウェアを使用することで、企業は、顧客が目標達成のために辿るプロセスを可視化するカスタマージャーニーマップを作成できます。カスタマージャーニーマッピングは、コミュニケーションを提供する最適なタイミングと場所を認識し、顧客の期待に確実に応えるのに役立ちます。
顧客とのあらゆるタッチポイントを可視化できるカスタマージャーニートラッキングソフトウェアは、企業がカスタマーエクスペリエンスに問題のある箇所を理解するのに役立ちます。企業は洞察を得て、顧客にとって最も重要な内容に集中できるようになります。
顧客の行動と問題点を深く理解することで、顧客サービス担当者などのチームメンバーは、顧客のフィードバックに対応し、カスタマーサービスにおけるコラボレーションを促進できます。さらに、カスタマージャーニーマッピングツールは組織のサイロ化を克服するのに役立ちます。
顧客のジャーニーをマッピングすることで、顧客中心主義に対する組織的な後押しを獲得して、修正が必要な点を見つけたときにも対応できるようになります。
今日の市場では、さまざまなカスタマージャーニーソフトウェアが利用可能です。自社に適したカスタマージャーニーソフトウェアを選択する際には、考慮すべき点がいくつかあります。
- クラウドベースのマッピングツールを選択してジャーニーマップを共同作成する
付箋でもマッピングはできますが、デジタルツールなら共有とコラボレーションが容易になります。
- 使いやすいソフトウェアを選択する
ドラッグ&ドロップやカスタムデザインなどの機能が備わった、従業員が使いやすいジャーニーソフトウェアを選ぶことで、包括的なジャーニーマップの作成や表示がしやすくなります。使いやすいソフトウェアなら、ユーザーエクスペリエンスもシンプルでわかりやすくなります。
- 生き生きとしたジャーニーを構築できるソフトウェアを選択する
ドキュメント、画像、オーディオ、ビデオファイルをマップに取り込み、リアルなジャーニーを作れるマッピングソフトウェアを選びます。
- 他のシステムと統合するソフトウェアを選択する
プロジェクト管理ソフトウェアやサードパーティのプラットフォームとの連携が可能なマッピングソフトウェアを選び、他のシステムからデータを取得して、必要なアクションを実行できるようにします。
- デジタルと物理的なタッチポイントを組み込んだソフトウェアを選択する
デジタルタッチポイントと物理的なタッチポイントの両方を含むジャーニーマップを作成できるソフトウェアを選べば、顧客の体験全体を可視化できます。
組織の顧客基盤が複数の世代で構成される場合、一般性に基づけば、それぞれの世代の欲求やニーズを簡単に推測できます。しかし、これはあまり賢明な方法ではありません。
例えば、年配世代にも生身の担当者と話すのが好きではない人もいます。また、若い世代の全員がスマートフォンですべてのやり取りを完結したいとも限りません。
Rockstar CX の James Dodkins 氏もこう同意しています。「誕生年などといった恣意的な尺度で消費者を区分するのは、21世紀のビジネスとしてはあまりにも旧式のやり方だと思います。人間にとって一番大切なのは「製造年」ではありません。相違点を見つけようとするのではなく、世代を超えた類似点を見つけ、それを活用するために、より深く掘り下げて見ていく必要があります。」
顧客基盤を世代グループ別に分けてジャーニーマップを作成する際には、考慮すべき点がいくつかあります。
- 万人に効くマップは存在しないことを忘れずに
世代別ジャーニーマッピングを行うことでグループ全体の好みを深く知ることができますが、そうした一般性を超えてさらに調査することも大切です。世代グループの一般的なプロファイルに適合しない外れ値とも言えるペルソナも必ず考慮に入れましょう。評価の際には、外れ値に関する情報も考慮します。次に、こうした情報がグループの好みをどの程度代表するものかを判断する必要があります。
- マッピングは深く
ライフサイクルのステージは当然それぞれに異なりますが、上で強調したように、ステージ間の類似点も存在します。類似点の有無を確かめるには、ジャーニーマッピングで表層を超え、深掘りするのが大切です。
各世代の体験の真の姿を見極められるよう、より細かいレベルでマッピングするようにしましょう。こうした洞察が得られれば、それを活用して顧客とより豊かなつながりを築くことができます。
- ある世代が別の世代に影響を与えることも
グループの外れ値の選好を考慮に入れることの大切さは、ある世代が別の世代に影響しうるという事実からも明白です。例えば、子供がいないベビーブーマーは、組織とのコミュニケーションに関して特有の選好を示すことがあります。子供がいるベビーブーマーは、ミレニアル世代の子供たちの嗜好の影響を受けているため、異なる選好を持つ可能性があります。
- 感情的な側面を忘れない
ジャーニーマップの作成時には、各対象グループのジャーニーに含まれる感情的な側面を見落とさないようにしましょう。顧客の感情は目標とその方向性に影響する可能性があり、ある人を個別に定義するのに役立ち、組織のカスタマーエクスペリエンスがもたらす印象と影響の指標として機能します。
- ジャーニーマッピングデータ強化の準備をしておく
CX に関するベストセラー作家で Forbes の寄稿者である Adrian Swinscoe 氏は、組織に対しデータだけに頼らないようアドバイスしています。「データのみでは顧客は理解できません。顧客との接点に足を運び、話をし、異なる分野でさまざまな経験をした多数の世代と話をし時間を一緒に過ごすことで、本当に顧客を理解できるようになります。そうして初めて、有効な多世代向けの体験の構築に必要な洞察と理解を身に付けることができるのです。」
このトピックに関する最後の言葉として、CX Journey Inc. の創設者兼 CEO の Annette Franz 氏のコメントを引用します。「世代に基づき体験をデザインするのではなく、年齢に関係なく、問題を解決し、顧客がすべきことを完了するのに役立つ体験をデザインすることです。」
ジャーニーマッピングの取り組みを微調整する方法などを確認するには電子ブック『5世代の CX ニーズの管理』をダウンロードしましょう。
共感とは、他者のニーズや感情を理解し、共有することです。他者の
視点に立つということは、すなわちその人たちがしていること、考えていること、感じていることを理解し、生きることです。こうした詳細はすべて
ジャーニーマッピングのプロセスの一部として組み込まれます。それを理解すれば、顧客一人ひとりにとって
素晴らしい体験を届ける方法が理解できるでしょう。
ジャーニーマッピングは、残念ながら、無意味な演習であり、時間の無駄として
しばしば批判されてきました。適切に行わなければ確かにそうなるでしょう。
ジャーニーマッピングの一般的な問題には、次のようなものがあります。
- 詳細の欠如
ジャーニーマップに盛り込むべき情報のレベルが設定されていなければ、体験の変革に活用することはできません。
- レベルが高次的すぎる
個々のジャーニーではなくライフサイクルのステージをマッピングすると、レベルが高次的すぎてカスタマーエクスペリエンスの変革に影響を及ぼすことができません。
- 体験に実感が伴わない
このためには、顧客が途中で使用・操作するアーティファクトをマップに含める必要があります。例としては、マーケティング関連のコミュニケーション、手紙、ウェルカムキット、明細書と請求書、カスタマーサービスへの電話の音声ファイルなどがあります。
- 間違った視点
カスタマージャーニーマップは、企業ではなく、顧客の視点から作成する必要があります。マップに会社の専門用語や手順が含まれている場合は、作成し直しましょう。
- 取り組みの停滞
作成したマップを壁に掲示したり、デスクに置いたままにしたりしておくと、停滞することになります。ジャーニーマップは、コラボレーションを通じて作成し、組織全体で共有する必要があり、実行可能なものである必要があります。さらに、体験が再設計されて進化するにつれ、更新する必要があります。つまり、カスタマージャーニーマッピングは作れば終わりではないのです。
これまでにも、顧客の一人ひとりに事前対応的でパーソナライズされた体験を提供するため、多くの企業がカスタマージャーニーマッピングに頼ってきました。しかし、ジャーニーマッピングだけではこれを実現することはできません。真にパーソナライズされたカスタマーエクスペリエンスを提供するには、ジャーニーマッピングへのアプローチを進化させる必要があります。
先見的で関連性のある体験を消費者が期待する今日の市場では、ジャーニーマッピングだけでは役不足な点が明らかになっています。
確かに、ジャーニーマッピングを行うことで、顧客とのやり取りを行い、ネガティブな摩擦が生まれる原因を追跡し、顧客中心で企業のさまざまな部門をまとめる方法を特定する上で貴重なビジュアルガイドと道標が得られますが、残念ながら、リアルタイムでパーソナライズする機能がないと、組織で相互作用を促進したり、ネクスト・ベスト・アクションを提供したり、コンテンツのオーケストレーションを行ったりすることはできないため、ジャーニーマッピングだけではカスタマージャーニーをサポートすることはできません。
消費者の重要な瞬間に対応し、それぞれの顧客の次の行動を予測し、さらにどのチャネルを利用するかを把握して適切なコンテンツで対応できるようにするには、カスタマージャーニーマップをカスタマージャーニー管理へと進化させる必要があります。
具体的にはどうすればよいでしょうか?
機械学習(ML)アルゴリズムをジャーニーマッピングプロセスに組み込みます。機械学習アルゴリズムは、新たなレベルのインテリジェントなオーケストレーションで組織を強化し、企業は以下を実現できるようになります。
- さまざまなソースからの顧客データのパターンを特定
- 顧客の行動を一致するペルソナにリアルタイムで分類
- 企業内の自動化とインテリジェンスを実現
言い換えれば、カスタマージャーニー管理によって、顧客のニーズを予測し、カスタマーエクスペリエンスをパーソナライズし、マルチチャネルのインタラクションを同期させ、総合的なオムニチャネルでのエンゲージメントを提供することができるようになるのです。
こうした結果を見れば、機械学習をジャーニーマッピングプロセスと統合する企業が先見の明のない競合他社よりも優位に立てる理由を簡単に理解できます。
機械学習によって強化されたカスタマージャーニー管理アプローチを採用することにより、企業は顧客の「ペルソナ」のダイナミクスを正確に明らかにすることができます。こうした情報を自由に活用できれば、組織はそれぞれの顧客と瞬間におけるネクスト・ベスト・アクションを継続的に再計算し、従業員は顧客の最善の利益のために行動できるようになります。
競合他社に一歩差をつけるカスタマージャーニーマッピングのアプローチを進化させるべき理由をさらに詳しくご説明します。ホワイトペーパー「カスタマージャーニー管理の最適化への道」をダウンロードしてご覧ください。