カスタマーコミュニケーション管理戦略

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はじめに
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今日の顧客は、ブランドやプロバイダーに対し、迅速で、簡単かつ便利な体験を常に期待しています。どこにいてもコミュニケーションが可能なため、オンラインとオフラインの区別を持っていません。ブランドを「実店舗 + 電話 + モバイル + ウェブサイト + ソーシャルメディア」だとは考えておらず、単一のブランド、単一のチャネルと捉えています。つまり、オムニチャネルです。こうした現実を踏まえ、期待に応えるためには、すべての企業にとってカスタマーコミュニケーション管理(CCM)戦略を実践することが重要となります。

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カスタマーコミュニケーション管理戦略の概略とビジネスに役立てる方法とは?
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カスタマーコミュニケーション管理(CCM)戦略とは、潜在顧客や既存顧客とつながるための包括的な計画を指し、これはブランディング、マーケティング、カスタマーサービスの目標達成のための具体的な戦術によって支えられます。

顧客コミュニケーション戦略は、次のような点で有益です。

  • 企業が顧客を維持するのに役立つ
  • ブランドに対する顧客の認識を向上させる
  • ブランドの一貫性を確保できる
  • 顧客エンゲージメントとロイヤルティを強化する
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CCM 戦略を作成する方法
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ブランドが卓越したカスタマーエクスペリエンスを提供するためには、オムニチャネルの採用は欠かせません。これは、金融サービス、保険、通信、公益事業など、規制、レガシーテクノロジー、組織やデータ面のサイロ化により業務が制限されている従来型の業界では特に重要となります。 

こうした業界には多くのタッチポイントがありますが、大切なのは、重要なポイントを特定し、一貫性および関連性があり、パーソナライズされた体験をあらゆる顧客に対して毎回提供することです。

「つながる」顧客の期待

顧客が豊富な情報とコンテンツを手元で操れるこの時代、常時オンライン接続している状態を反映し、期待もそれに合わせて進化しています。つながり続ける顧客は一日中情報を消費し、デジタルのフットプリントをあらゆる場所に残しており、組織が活用し、計画に組み込めるようなデータを提供しています。

こうした「つながる」顧客がアプリやチャネルを閲覧し、コンテンツを投稿し、購入を計画する中、企業は、顧客がこれまで辿った過程と今後の行き先を反映した魅力的なコンテンツとメッセージで顧客に対応する必要があります。 

テクノロジーに推進され、顧客の期待は、接続性、即時性、シンプルさを追求する方向に進化しました。現在の顧客は、タッチポイントに関係なく、パーソナライズされ、一貫性および関連性があり、タイムリーで、利便性が高く、摩擦のないシームレスな体験を求めています。また、カスタマーエクスペリエンスの重要な要素であるコミュニケーションも、魅力的で、興味をそそり、真実さがあり、信頼できる内容を、各自が選好するチャネル経由でリアルタイムで配信する必要があります。 

顧客の期待に応える体験の設計において重要なのは、まずそうした期待を特定して理解することです。それを行った後、本当の意味で「重要な瞬間」を完璧に実現できる体験を設計して提供します。 

  • 顧客の64%は、企業がリアルタイムで対応し、やり取りすることを期待しています
  • 顧客の63%は、個人としてではなく単なる数字として扱われた場合、ブランドを乗り換える傾向あります
  • 顧客の50%は、自分のニーズを予測してもらえない場合、ブランドを切り替える可能性があります

「真実の瞬間」とは?

「真実の瞬間」とは、カスタマージャーニーの途中でその成否を分ける段階を指します。これをうまく実践すれば、その顧客はジャーニーを続け、ブランドの製品やサービスを購入するでしょう。反対に失敗すれば、恐らくブランドとの取引を取りやめることとなるでしょう。こうした「真実の瞬間」のひとつひとつが、ブランドを差別化できる機会となります

「真実の瞬間」の概念を発展させたRichard Normannが1970年代に行った調査では、1回の失敗を挽回するにはポジティブな体験が12回も必要となることが明らかになりました。それを考えれば、体験から摩擦を取り除き、一つ一つの「真実の瞬間」からポジティブな成果が確実に生まれるようにすることは不可欠です。

顧客との関係においてコミュニケーションは重要です。その一つ一つが、カスタマージャーニーにおける大切な「真実の瞬間」なのです。  

コミュニケーションは、ブランドの約束とカスタマーエクスペリエンスの両方をサポートします。タイムリーで一貫性のある適切なコミュニケーションは信頼を築き、そうした信頼からはリピート顧客が生まれます。そのため、顧客とのコミュニケーションをすべて一覧表にして全体像を把握し、説明、通知、アドバイス、広告、教育、支払いの要請など、それぞれの目的を理解することが重要です。

コミュニケーションは事後対応型でも事前対応型でもかまいません。しかし、タッチポイントやチャネルに関係なく、タイムリーで一貫性があり、パーソナライズされ、一人ひとりの顧客に関連性があり、シームレスなものでなければなりません。

主な障害

縦割り構造、データの不整合、オムニチャネル機能の不在や設計不全、旧式の技術プラットフォームなど、企業がコミュニケーション面での期待に応える上で障害となる要因はいくつか存在します。

縦割り構造 :

最高の体験を提供するには、データが、部門間やさまざまな異なるチャネルに流れる状態を保つ必要があります。米国経営者協会が社内コラボレーションに関して行った調査によると、経営幹部の83%は、自社に縦割り構造が存在すると述べ、97%はこうしたサイロ化が悪影響を及ぼしていると考えています。組織内のサイロ化を分解したり、つなぎ合わせるには、まずそれを認識し、理解することが肝要です。

NewVoiceMediaは、以下のように組織内の3つの異なるタイプのサイロ化を定義したホワイトペーパーを公開しました。

  • 運営面:機能ベース:組織を語る上で最もよく思い浮かべるタイプの1つかもしれません。さまざまな部門が互いにつながって対話することなく、全国的あるいはグローバルで一体化したひとつの企業として機能していない組織のことを指します。
  • チャネル : インタラクションベース : 顧客がやり取りできるチャネルは複数ある一方で、顧客側の過度な努力なしではそれを行うことを困難にしている状態です。複数のチャネル間での企業の方針や対応に一貫性がないため、顧客は別のチャネルに移行するたびにその企業と新たにやり取りを始めているように感じます。マルチチャネルにおける問題点が明らかになる例です。
  • 階層型 : 組織レベルベース : チームメンバーが、適切な手続きとチャネルを経由せずに上級幹部の関与を呼びかけることを禁止またはあからさまに思い留まらせている場合に発生するサイロ化の状況です。
     

こうしたサイロ化が存在すると、データ、コミュニケーション、システムや基準が永遠に分断されたままとなります。コラボレーション、コミュニケーションやデータの共有が阻害または禁止されると、顧客に間違いなく影響が及びます。
 

  • 企業の41%は、シームレスなカスタマーエクスペリエンスを提供する上で運用上のサイロが大きな障壁であると述べています。(出典 : eConsultancy)

オムニチャネル :

サイロを分解または接続させることは非常に重要です。ブランドが複数の部門やチャネルを通じてデータを共有できていない場合、顧客はそれを感じ取ります。体験が分断された、面倒なものになるからです。例えば、コミュニケーションがバラバラで関連性がなく、顧客の生活やジャーニーから外れたものとなる可能性があります
  

顧客向けのメッセージ内容を連携させ、顧客の不満を軽減することを目指す場合に、最も影響力のある方法の1つがオムニチャネルエクスペリエンスの見直しです。オムニチャネルとは、チャネル間で一貫性のあるシームレスな体験を提供するもので、マルチチャネル(統合されていない複数のチャネルを通じた顧客とのやり取り)とは異なります。
 

企業とのやり取りにおいて、顧客が考えるのはチャネルについてではありません。「何をやり遂げる必要があるか」です。顧客にとって、独立した固有のチャネルという概念は存在しません。したがって、ブランドは迅速に進化を遂げ、複数のチャネルを統合する必要があります。データがサイロ化され、ブランディング、メッセージングや体験に一貫性がないチャネルが多数存在すると、顧客にとって余計な手間が生じ、不満が生まれます。オムニチャネルは、カスタマーエクスペリエンス、特にコミュニケーション戦略における優先事項でなければなりません。

  • オムニチャネルでのカスタマーエンゲージメント戦略が最も強力な企業の平均顧客維持率は、オムニチャネル戦略が弱い企業の33%と比較して89%にも上ります。(出典:Aberdeen)
     

テクノロジー :


顧客の期待に応えるためには、まず顧客を理解し、顧客データを活用して、顧客が期待している体験を設計し、あらゆるタッチポイントでその体験を提供することが不可欠です。適切な人に、適切なチャネルとタイミングで、こうした期待を実現する上での手段となるのがテクノロジーです。
 

にもかかわらず、テクノロジー、特に旧式のテクノロジーが、多くの企業が顧客の期待する体験を提供する上での妨げとなっているのが現実です。


こうしたレガシーテクノロジーの負担がこの上なく重いのがコミュニケーション分野です。ブランドは、特定の目的や通信手段別に個別に構築されたレガシーテクノロジーに加え、相互通信できない異種のシステムや冗長なシステムも抱えています。また、ほぼ管理不能といえる量のメッセージングとコミュニケーションを抱えており、顧客を圧倒したり、混乱させたり、苛立たせたりしないよう、これらを整理し、調整する必要に迫られています。


これに対抗するため、大手企業は次世代のカスタマーコミュニケーション管理(CCM)プラットフォームを活用してオムニチャネルコミュニケーション戦略を促進し、支えてしています。一貫性をもってコミュニケーションをブランディングするのはもはや当然であり、これだけでは十分ではありません。パーソナライズされ、関連性と一貫性があり、タイムリーで、規制に遵守したコミュニケーションを顧客が求める場所、方法とタイミングで届ける必要があるのです。
 

コミュニケーションの統合を実現するには、さまざまなマーケティングやメッセージングプラットフォームの統合が必要です。これは、次世代の CCM プラットフォームがコラボレーションを促進し、メッセージングだけでなく、異なるシステムを持つサイロ化されたチームも統合することで解決する問題です。
 

また、CCM プラットフォームを使用すると、全社のチームがあらゆるチャネルでコミュニケーションを設計、プレビュー、テストすることができます。さらに、オムニチャネルプレビューを並べて表示し、すべてのコミュニケーションをあらゆるチャネルのコンテキストで確認して一貫性のあるチャネル体験を維持することができます。これにより、あらゆるチャネルの一元的なアーカイブとレビューが一箇所で集約的に可能となり、コンプライアンス担当者の負担も軽減できます。

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結論
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自社ビジネスに適した CCM 戦略を見つけるには、あくなき探求が必要となります。テクノロジーが進化する中、顧客とその嗜好について学びを深めるにつれ、アプローチを反復していくことが大切です。

Quadient では、優れた CX の新たな基準を満たすには、顧客中心の世界に向けて構築された革新的なテクノロジーが必要であることを理解しています。受賞歴を誇る Inspire カスタマーエクスペリエンス管理スイートの活用で、組織は単一の直感的なプラットフォームから、数百万件のパーソナライズされたオムニチャネルコミュニケーションを作成して提供できるようになります。詳細についてはこちらの動画をご覧ください。

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